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分裂勘違い君劇場の別館

http://d.hatena.ne.jp/fromdusktildawn/ の別館です。

あなたは金融緩和で損をするタイプ?得するタイプ?

アベノミクスのウリは強力な金融緩和だが、

実は、金融緩和で損する人は、けっこうたくさんいる。
得する人の方が多いから、やってるだけで。

中には全員が得するかのようなことを言う人もいるけど、
まあ、ぶっちゃけ、それはウソだ。
たしかに全体のパイは膨らむので、平均すると得する人の方が多くなるだろうが、
全員が全員必ず得する、というような虫のいい話ではない。
損する人も、けっこうたくさん出てくると思う。

基本的に、以下のタイプは得をすると思う。
(1)一部の大金持ち
(2)失業者
(3)貧困層

以下のタイプは損をする人がけっこう出てくると思う。
(1)中高年正社員
(2)中小企業経営者
(3)中高年の小金持ち

以下、理由を述べる。

金融緩和をし続けて、2%インフレが常態化したとする。
多くの企業で、かなりの数の中高年正社員の名目賃金を据え置きにするケースがけっこう出てくると思う。
となると、年率2%ずつ、実質賃金が下がっていくことになる。

さらに、金融緩和を続けると、円安が続く。
企業が、今後もずっと円安が続くと見切れば、次第に海外の工場を国内に移転し始める。
これによって国内の雇用が増えて、失業者は職を得られるようになる。

しかし、円安は物価高をもたらす。
すると、名目賃金が据え置きの人は、輸入物価が上がった分だけ、実質的に貧しくなる。

また、円安が続いて、国内に製造拠点が戻ってくると、
国内労働力が不足して奪い合いになる。
その場合に不足するのは、国外にアウトソースしていたような種類の労働だから、基本的に低賃金労働だ。
だから、低賃金労働者の所得は増える。低賃金労働者は得をする。

一方で、低賃金労働の給与が上がると、中小企業の経営を圧迫する。
やがては、多くの中小企業が人件費高騰から、採算が苦しくなっていく。中小企業経営者の役員報酬は減るだろうし、ひどい場合には、倒産してしまうだろう。

また、中高年の小金持ちの中には、なぜかタンス預金をしている人がけっこういる。
その人達の、タンスの中に眠っている諭吉さんたちは、年率2%のインフレが起これば、2%ずつ価値が目減りしていくことになる。

また、景気が回復し、労働者不足があちこちで起きるから、それによって労働者の待遇が良くなっていくだろう。
しかし、人手不足が原因で労働者の所得が増た分だけ、経営者と株主の所得が減ることになる。

もちろん、景気が良くなれば売上が増え、遊休施設の稼働率が上がるので、その分だけ、会社の利益は増え、経営者と資本家が得をする、という側面もあるので、それで相殺されるか、むしろ、トータルでは、経営者も株主も得をすることの方が多いと思う。もちろん、トータルで損になるケースも多いだろうが。(id:Dursan氏の指摘により追記)

外国の株式で資産運用している人は、円安になれば、日本円での資産評価額は上がるので、日本で暮らしている限りにおいては、得するとも言える。

日本の株式で資産運用している人は、日本円換算での資産は増えるので、資産は上がったという見方もできるが、円安になった分だけ資産が減っているので、そんなに増えたのかどうか、微妙という話もある。


まあ、実際には、たとえ損するタイプの人でも、景気が良くなったり人手不足になることによる恩恵で、損が緩和される面があるから、そんなに大損、というほどになるケースはそんなに多くない気がする。

社会的には、日本の金融緩和は、アメリカの金融緩和と、かなり違う意味を持っていると思う。

アメリカの格差が、超富裕層とそれ以外の格差であるのに対し、日本の格差が中間層と貧困層の格差であるからだ。

もちろん、金融緩和の主目的は景気回復だろうが、金融緩和は、正社員の実質賃金を下げて、それを失業者と貧困層に再配分する副作用がある。
この副作用は、結果的に、日本型の格差是正をもたらすように思う。

 

id:tdam氏の指摘により追記:

リフレで遊休施設の稼働率が上がり、失業者が働くようになった分だけ、GDPは押し上げられる。それにより税収が増える。これにより、より多くの人が年金を受け取れる見込みは上がることになる。さらに、年金支給額は物価上昇率分だけ上がる取り決めになっているので、インフレで実質の年金支給額が目減りすることもない。なので、年金生活者やその予備軍は、金融緩和で得をする。

円安で国内に産業が戻ってきたり、輸出が増えたり、訪日外国観光客も増えれば、タイムラグはあるが、長期的には貿易黒字は増える方向に向かう。黒字分は、日本人が外国に持つ債権という形になるので、その利回り分が日本人の所得を押し上げる。でも、この効果が出るのには、けっこうタイムラグが大きいと思う。

リフレで実質生産が増えれば、たしかに、日本人全体の実質所得は増える。しかし、それが均等に分配されるとは限らない。多く分配される人も入れば、分配どころか、リフレの別の副作用の効果の方が大きく出てしまって、トータルで損をする人も出てくる。