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金持ちの機嫌をとらなくても富が再配分される社会にすべき3つの理由

 

こういう記事を書くと「金持ちに嫉妬してるんだろう」と勘ぐる人が出てくるので、最初に書いておく。
私は、平均的な日本人よりもはるかに多くの税金を納めてきたし、これからもそうする予定だ。



金持ちのご機嫌をとらなくても再配分される社会にすべき理由は、次の3つだ。

 

(1)そもそも、「金持ちが稼いだ金が、金持ちのものである」というのが幻想だから。

我々の社会が社会主義ではなく、資本主義になっているのは、単に我々が、社会主義ではなく、資本主義を選んだからにすぎない。

「均等に富を分配する」という社会ではなく、「より多くの富を生み出した者に、より多くの富を分配する」という社会になっているのは、単に、人々がそれを選んだからにすぎないのだ。

そして、実は、我々の社会は、資本主義社会ではない。
「修正資本主義社会」なのだ。

つまり、日本人は、「より多くの富を生み出した者に、より多くの富を分配する」という社会を、選択しなかったのだ。
「より多くの富を生み出した者に、より多くの富を分配するが、生み出した富よりは、少なく分配する」という社会を、日本人は選んだのだ。

これが、累進課税制度の根拠だ。

「金持ちは、より多くの税金を取られている」と言う人がいるが、そもそも、この認識が間違っている。
なぜなら、もともとその金は、その金持ちのものではないからだ。

富の配分システムとして、市場メカニズムは、極めて効率がいい。
だから、いったんは、市場メカニズムによって、世の中の富を分配している。
しかし、それだと、資本主義になってしまう。
そこで、修正資本主義の分配に修正するために、配分を調整する必要がある。
それが、「累進課税制度を通じた富の再配分」というものなのだ。

社会が生み出した富を、どのように分配するかは、極めて恣意的に決まる。
どんな分配の方式を選んだって、構わない。
一人一票の民主主義国家においては、どのような分配方式になるかは、一人一票の多数決で決まる。それ以外に答えはない。

ただ、もちろん、経済効率という側面から、決まってくる部分もある。
「生み出した富の量に関係なく、均等に富を分配する」という社会だと、経済効率が悪い。
だから、我々は共産主義や社会主義のシステムを選択しなかった。
一方で、完全な資本主義というのも、格差と貧困が拡がり、社会を荒廃させてしまう。
何より、最大多数の最大幸福にならない。
そこで、その両極端の間にある、最適解として、我々は、修正資本主義社会を選んだのだ。

 

(2)「運」が生み出した富を、適切に分配すべきだから。

たとえば、以前、私が起業した会社が、上場したことがある。
私は、その会社の株式をそれなりに多く保有していたため、そこそこの富を得た。
しかし、その富の99.9%は、単に宝くじに当たったようなものだった。
なぜなら、私の才覚や努力とはほぼ無関係に、その会社が成功したからだ。

誰がその富を生み出したのかと言うと、私ではなく、「運」である。
運が生み出した富を、社会は、どのように分配すべきなのだろうか?

基本的には、均等割でいいのではないだろうか。

ただ、厄介な問題が、2つある。

1つ目は、人間には、「運を実力だと錯覚する認知バイアス」があるということだ。
このため、金持ちの多くは、自分は運よりも主に努力と創意工夫で金持ちになったのだと思い込んでしまっているのである。
(詳しくは、拙書に書いたので、そちらを参照されたい。 無料のWeb版がこちらで読める )

2つ目は、生み出された富のうち、どれだけの割合が、運によるものかは、計測が難しいという点だ。
私の起業した会社が上場したのは、99.9%が運だと思っているが、実際には、運は50%くらいかもしれない。
そんなものは、誰にも計測できないのだ。

あとは、社会として、運の割合を、どれくらいだと「みなす」べきか?という話になる。
「金持ちほど幸運に恵まれた割合が多い」と「みなす」ならば、金持ちほど、多くの税金を支払うべきということになる。
これも、累進課税の根拠の一つになりうるだろう。

 

(3)レベニューシェア比率は、日本国民に決定権があるから。

たとえば、Aさんが、日本でビジネスをすると、年に30億円稼ぐが、ソマリアでビジネスすると、しょっちゅう暴徒に襲われるので、年に300万円しか稼げないとする。
当然、Aさんは日本でビジネスをする。
この場合、Aさんと日本は、ある意味、共同事業をやっているようなものだ。
共同事業をやっているのだから、レベニューシェア比率を決めなければならない。
たとえば、AmazonのKindleだとKindleのみで出版する場合で250円以上1250円以下の本であれば、70%が著者の取り分だが、それ以外だと35%が著者の取り分になる、などのレベニューシェア比率が決められている。
Aさんが株式会社日本と共同事業をする場合も、やはり、ルールによって、レベニューシェア比率を定める必要がある。
それが、税率に相当する。
日本というプラットフォームでは、所得の多い人ほど、日本のレベニューシェアが増えるというルールでプラットフォームが公開されている。
それが、累進課税の根拠だ。

Amazonのプラットフォーム上でビジネスをするなら、Amazonとレベニューシェアするのは、当然である。
それと同じように、日本というプラットフォーム上でビジネスをするのなら、日本とレベニューシェアするのも、しごく当たり前の話なのだ。

そして、Amazonのレベニューシェア比率は、Amazonが恣意的に決める。
それが気に入らない人は、単にKindleで出版しなければいいだけの話だ。
同様に、日本のレベニューシェア比率も、日本国民が一人一票の間接民主制を通じて、恣意的に決める。
それが気に入らない人は、日本というプラットフォームでビジネスをしなければいいだけの話だ。

よく、「金持ちに税金をかけすぎると、金持ちが逃げ出してしまう」と言う人がいるが、むしろ、一定割合の金持ちが逃げ出すぐらいに税率を設定したほうが、税収は最大化できる。

もちろん、日本プラットフォームの取り分を大きくしすぎれば、逃げ出す金持ちが多すぎて、税収が少なくなってしまう。

 

一方で、小さくしすぎれば、逃げ出す金持ちは少なくなるが、やはり税収が減ってしまうのだ。

 

なので、十分な税収を確保するためには、「金持ちの大脱走を引き起こすほどには高くないが、十分な税収が確保できるくらいには高い、ちょうどいい税率」に設定する必要があるのだ。

 

もちろん、所得税だけでなく、譲渡益課税、相続税、配当課税、固定資産税などの資産課税も、同様のやり方で、税収を最大化することができる。分離課税でなく総合課税にすべきかどうか、という議論も含めて。

 

結論

このように考えれば、「再分配を促すために、お金持ちを褒めよう」などという主張が、いかにバカバカしいかが分かる。

再分配が進まない?
だったら、単に、日本国民が、レベニューシェア比率を変更すればいいだけの話。
金持ちのご機嫌伺いをする必要など微塵もありはしない。

レベニューシェア比率の決定権は、100%日本国民にあるのであって、お金持ちの顔色を伺いながら決めるようなものでは、断じてない。

もし、「金持ちを褒めないと、再分配が進まない」と言うのであれば、「金持ちは、一人一票の原則に反する、不当な権力を保持している」ということになる。そのような不当な権力を是認し、迎合するような者がいるのだとすれば、その者は、民主主義の敵である。
我々民主主義者は、断固としてそのような者と戦わなければならない。
我々人類は、そのような不断の戦いによって、現在の自由と平等を勝ち取って来たのであって、ただ口を開けて待っているだけで、民主主義が棚から落ちてきたわけではない。
民主主義とは、戦って勝ち取るものなのである。



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